na'e

Youtube : 第14回、 10分31秒から

NAhE類という品詞には、 {na'e} という単語もあります。 これも否定をあらわす単語ですが、 {to'e} と違って、正反対をあらわすのではなく、「それ以外の何かである」ということをあらわす否定です。 例えば

na'e cadzu 「歩くのではない」(内容語) (na'e 「それ以外」、 cadzu 「歩く」(内容語単語))

これは、「{na'e cadzu} の代わりに何か別の内容語を入れると、文全体が正しい肯定文になる」ということを意味します。

{na'e cadzu} の代わりに入る内容語と言っても、 どういう範囲の内容語から選べるのかは漠然としています。 {na'e cadzu} の代わりに入る内容語の候補として納得できる選択肢の範囲をある程度制限したい場合には、例えば {le'a} という、カテゴリをあらわすBAI類の単語を使うことができます。

行動に関して {na'e cadzu} と言いたい場合は、例えば

le'a lo si'o zukte ku 「行動という概念をカテゴリとして」

といったタグ付きの項で表現できます。 そうすると、 {se karce} 「車に乗る」とか、 {dansu} 「踊る」とか、 {cando} 「何もしない」といった内容語は、 {na'e cadzu} の代わりとして納得できる選択肢に入ってきます。 その一方で、 {tilju} 「重い」とか、 {cakla} 「チョコレート」とか {so moi} 「9番目」といった内容語は、選択肢から除外されます。

NAhE類の単語は、文法上、内容語やタグの直前に付くことができますが、項には直接付くことができません。 NAhE類の単語を項に付けたい場合は、NAhE類と項の間に {bo} という単語を入れます。 {bo} という機能語は、この講座の第9回でも出てきました。 今回ご紹介するのは同じ {bo} ですが、別の使い方です。 例えば

na'e bo mi 「わたし以外のだれか」 (na'e bo 「〜以外」、 mi 「話し手」)

という項を作ることができます。

NAhE類に {bo} が付いた表現は、文法上、LAhE類と同じ振る舞いをします。 LAhE類については、この講座の第12回でお話ししました。 項の直前に付いて、項の意味を調整するのでしたね。

{NAhE bo} が付いた項に、GOI類やNOI類などで何かが繋がっている場合、その {NAhE bo} はLAhE類と同じように、繋がったもの全体に係ります。 {NAhE bo} の係る範囲を、その繋がったものの手前で区切りたいときは、LAhE類の区切りと同じ {lu'u} を使います。