LAhE類

Youtube : 第12回、 12分43秒から

さて、ここまでの話は、項に項を繋いだり、項に命題を繋いだりして、長い項を作る方法でした。 今度は、項の前に付いて項の意味を調整する、LAhE類という品詞について考えてみましょう。 例えば

la .o'en.kenzabur. la'e lu vitci ponjo me mi li'u cusku

という命題について考えましょう。

述語: cusku 「表現する」(内容語単語)

項: la .o'en.kenzabur. 「大江健三郎が」 la'e lu vitci ponjo me mi li'u 「『あいまいな日本の私』を」

全体として「大江健三郎が『あいまいな日本の私』を表現する」という意味になります。

2番めの項で、 {la'e} の直後に出てくる {lu vitci ponjo me mi li'u} という部分は、 前回出てきた表現ですね。 これは {vitci ponjo me mi} 「あいまいな日本の私」という意味のある音素列を、 {lu} {li'u} という機能語で挟んで、その音素列そのものを指す項に変えたものです。 この項の直前に {la'e} を付けないと、「大江健三郎がvitci ponjo me miという音素列を表現する」という意味になってしまいます。 大江健三郎は、多分、このロジバンの音素列を知らないでしょうから、表現できないでしょうね。

{la'e} は、LAhE類に属する機能語で、記号をあらわす項の直前について、「その記号が指すもの」という意味の項に変えます。

何を指すかは、文脈によって違います。今の例では、音素列をあらわす {lu vitci ponjo me mi li'u} という項の直前に {la'e} を付けることによって「あいまいな日本の私」 という題名の講演内容を指すことができます。

LAhE類の単語は、項がGOI類やNOI類などで繋がっているときは、デフォルトでは、その繋がったものを含めた全体に係ります。 LAhEの係る範囲を、GOI類やNOI類の手前で区切りたいときは、「LAhE類の係る範囲はここまでだ」というしるしになる機能語 {lu'u} を使います。 例えば

la'e lu vitci ponjo me mi li'u lu'u poi la .o'en.kenzabur. ke'a cusku

という長い項を考えましょう。

la'e lu vitci ponjo me mi li'u lu'u「『あいまいな日本の私』という題名の講演内容」

poi [la .o'en.kenzabur. ke'a cusku] 「大江健三郎がそれを表現する」

全体として「大江健三郎が表現した、『あいまいな日本の私』という題名の講演内容」という意味の項になっています。

もし {lu'u} が無いと、 {la'e} は、 {poi} で繋げた命題を含めた長い項全体に係ります。 つまり、

la'e 「が指すもの」

[lu vitci ponjo me mi li'u poi la .o'en.kenzabur. ke'a cusku] 「大江健三郎が表現した {vitci ponjo me mi}」

「大江健三郎が表現した {vitci ponjo me mi} が指すもの」となって、本来言いたいことと違う意味になってしまいます。 ですから、 {poi} の前に {lu'u} を使って、 {la'e} の係る範囲を区切る必要があるわけです。