NOI類

Youtube : 第12回、 9分13秒から

以上は項に項を繋げる方法でしたが、項に命題を繋げることもできます。 1つ、例を挙げてみましょう。

lo limna poi do ke'a viska ku'o

これは、1つの項となる表現です。 長い項ですが、これは {lo limna} 「泳ぐもの」という短い項に、 {poi do ke'a viska ku'o} という表現を繋げたものです。

lo limna 「泳ぐもの」

poi [do ke'a viska] ku'o

この {poi do ke'a viska ku'o} という部分は、 {do ke'a viska} という命題を、2つの機能語 {poi} と {ku'o} の間に挟んだ形になっています。

{poi} は、NOI類という品詞に属する単語です。 NOI類の単語には、直前の項に直後の命題を繋げる働きがあります。 {poi} の場合は、その後に続く命題によって、直前の項を限定します。 {ku'o} というのは、「NOI類の単語の係る範囲はここまでだ」という区切りをあらわす機能語です。 {ku'o} は、NOI類の係る範囲に影響なければ、省略しても構いません。 {poi} と {ku'o} に挟まれた {do ke'a viska} という命題は

述語: viska 「見る」(内容語単語)

項: do 「あなたが」 ke'a 「それを」

「あなたがそれを見る」ということです。この中の {ke'a} というのはKOhA7類に属する代項で、この代項は NOI類で項に繋がる命題の中だけで使われます。 そして、「NOI類の直後の命題の中では、NOI類の直前の項が、 {ke'a} の部分にあてはまる項の役割を担っている」というしるしになります。

ちょっと難しいですが、今の例について言えば、 {poi} の直後の {do ke'a viska} という命題の中では、 {ke'a} が {viska} の2番めの項になっていますから、 {poi} の直前の {lo limna} という項が、 {viska} の2番めの項の役割を担って、「あなたが見る対象」となっているということです。 こうしてこの長い項は「あなたが見ている、泳ぐもの」という意味になります。

{ke'a} が1番めの項となる場合や、どの項になるかが明らかである場合には、 {ke'a} を省略することもあります。

注記

前節で出てきたGOI類と同様に、2つ以上のNOI類-{ku'o} 表現を1つの項に繋げることもできます。 また、NOI類-{ku'o} 表現とGOI類-{ge'u} 表現を、共に1つの項に繋げることもできます。 NOI類による表現にも、前節の注で言及した接続表現 {zi'e} を使うことができます。

一般には、{項 GOI/NOI...ge'u/ku'o} という構造に別の {GOI/NOI...ge'u/ku'o} を追加するには、 {zi'e} が必要です。 この入門編で取り挙げた表現で zi'e を省くことができるのは、文法上、以下のような構造になっているからです:

[LE/LA [「述語になれる表現」GOI/NOI...ge'u/ku'o]] GOI/NOI...ge'u/ku'o

つまり、 {LE/LA 「述語になれる表現」} という項の最後の区切り {ku} が無い場合、 {「述語になれる表現」GOI/NOI...ge'u/ku'o} という「項の中身」の塊がまず構成され、その全体に {LE/LA} が付いて、1つの項となります。 この構造によって1つの項の区切りが決まるため、その後に {zi'e} 無しで別の {GOI/NOI...ge'u/ku'o} を追加することが可能になります。

このように「「項の中身」に {GOI/NOI...ge'u/ku'o} を繋げることができる」という文法規則があるのは、 {LE/LA ... ku} という構造の内部に数を付ける場合と、外部に数を付ける場合とで、違う意味の文を作れるようにするためだと考えられます。 {LE/LA ... ku} 構造の内部・外部に付く数の意味については、残念ながら、この入門講座ではお話しする時間がありません。