to'e

Youtube : 第14回、 5分47秒から

UI類以外の単語についても、その単語と正反対の意味を作るための機能語があります。 それはNAhE類という品詞に属する {to'e} という単語です。

{to'e} は、内容語の直前、あるいは、項のタグや述語のタグの直前に付いて、「正反対」という意味の内容語やタグに変える働きがあります。 例えば

lo mipri vorme ku to'e canci to'e se cau lo sance

という命題を考えましょう。 {to'e} が2回出て来ましたね。

述語: to'e canci 「現れる」(to'e 「正反対」、 canci 「見えなくなる」 (内容語単語))

項:lo mipri vorme ku 「秘密の扉が」 to'e se cau lo sance 「音付きで」 (to'e 「正反対」、 se cau 「〜無しで」(項のタグ)、 lo sance 「音」)

この述語は、 {canci} 「見えなくなる」の直前に {to'e} が付いて、正反対の意味を持つ内容語に変わり、 {to'e canci} 「現れる」という意味になったものです。

この命題には、もうひとつ {to'e} が出て来ましたね。 {to'e secau lo sance} は {lo sance} 「音」という項に {to'e se cau} という項のタグが付いたものです。 このタグは {se cau} 「〜無しで」という項のタグに {to'e} が付いて、正反対の意味のタグに変わったものです。 {to'e se cau} で「〜付きで」という意味のタグになります。このタグが {lo sance} 「音」 という項に付くと {to'e secau lo sance} 「音付きで」「音を立てて」ということです。

この命題は全体として、「秘密の扉が音を立てて現れる」という意味になります。

NAhE類には、

to'e (正反対)

je'a (反対の反対、「まさにそうだ」)

no'e (中間的、「どちらとも言えない」)

という単語もあります。 例えば

betri 「悲劇、災難」(内容語単語)

to'e betri 「喜劇」

je'a betri 「まさに悲劇」

no'e betri 「悲劇でも喜劇でもない」

という意味で使うことが可能です。 ただし、NAhE類で作られる表現は、UI類に付く{nai} と違って、「どういう尺度での正反対をあらわすか」ということまでは定義されていません。 NAhE類の表現と合わせて、尺度をあらわすBAI類の単語 {ci'u} などを使うと、尺度を明言することができます。 例えば

ci'u lo ni jursa ku 「深刻さを尺度として」

というように、タグ付きの項として表現できます。