述語のタグ

Youtube : 第9回、14分59秒から

さて、この講座の第7回から今回まで、述語の構造についてお話してきましたが、最後に、述語のタグ({selbritcita})についても、少しお話しておきましょう。

実は、第6回でお話した項のタグのうち、FA類以外のタグ、つまりBAI類やPU類などですが、これは項に付ける代わりに述語全体の冒頭に付けることができます。 この場合は、項のタグではなくて、述語のタグとなります。

例えば

mi pu du'esi'e citka

という命題を考えましょう。 この命題の述語は {du'esi'e citka} という部分です。 これは2つの内容語が並んだものです。

最初の内容語は {du'esi'e} で、{du'e} というのは「多すぎる」という意味の数です。 このような主観的な量をあらわす単語も、ロジバンでは数の一種として扱われます。

{si'e} はMOI類に属する単語で、数の後に付いて「分量」をあらわす内容語を作ります。 {du'esi'e} で「多すぎる量」という意味の内容語になります。

その次に出てくる内容語は {citka} で、これは「食べる」という意味の内容語単語です。 ですから、 {du'esi'e citka} という内容語の列は、大雑把に言うと「多すぎる量で、食べる」という意味の述語となります。

この述語のタグとして、PU類の単語 {pu} を付けると、 {pu du'esi'e citka} となり、これは、「今よりも以前に」つまり、過去のことをあらわす述語になります。

この命題の中の項は1つだけで、 {mi} 「わたし」です。項の役割を決めているのは、述語の最後の内容語である {citka} の定義です。これは、「食べる主体」という項の役割を1番めの項に与えます。

この命題の意味は、大雑把に言うと、「わたしは今よりも以前に多すぎる量で食べる」つまり「わたしは食べ過ぎた」ということになります。

実は、この {pu} というタグが付いていなくても、この命題が過去のことをあらわしていることは、ありえます。 述語にPU類のタグを付けるかどうかは、話し手がその命題のあらわすことがらの時間を明言したいかどうかによって、自由に決めて良いことです。 また、 {pu} というタグをつけると、過去については明言したことになりますが、だからといって、現在や未来についてこの命題が当てはまらないとは言っていません。

さて、PU類と同じように、BAI類も述語のタグとして使えます。 例えば、理由をあらわすBAI類の単語 {ki'u} を述語のタグとして使うと、理由そのものははっきり言わずに、「とある理由で」という意味を命題に加えることになります。

mi ki'u du'esi'e citka

という命題なら、「わたしは、とある理由で食べ過ぎた」ということです。 {pu} が付いていなくても、文脈によって、過去の話であると解釈しても構いません。