sei ... se'u

Youtube : 第15回、 9分43秒から

メタ言語的な表現、つまり、 「命題についての何か」を付け加える表現は、 {na'i} のほかにもあります。 例えば

ko sei pe'idai la'a mi do dukse kurji se'u surla

という文を考えましょう。 この文の命題本体は

ko surla

だけで、最初の {ko} という項と、 最後の {surla} という述語で構成されています。 その間にある

sei pe'idai la'a mi do dukse kurji se'u

は、メタ言語的な挿入句です。

まず命題本体から考えてみましょう。

{ko} というのは、 {do} と同じく、聞き手を指す代項なのですが、さらに、聞き手に対して命令する気持ちを追加した意味を持ちます。

「命令」といっても、「義務」とか、「頼む」とか、「おすすめする」とか、いろんな意味がありえます。 そういう気持ちを区別して表現したいときは、UI類の単語、 例えば、 義務なら {.ei}、頼むなら {.e'o}、おすすめするなら {.e'u} という単語を使えば良いのですが、 そういう気持ちを区別せずに、「聞き手に対する命令一般」をあらわすときには、 {ko} を使うと便利です。 最終回に来て、ついにこの講座の題名の意味が明らかになりましたね。 {ko lojbo .iu} 「ロジバン的(愛)であれ」つまり「ロジバン♡しよう」という命令文です。

さて、今の例文に戻りますと、述語の {surla} というのは、「リラックスする、休憩する、気分転換する」という意味の内容語単語です。 {ko surla} という命題は「聞き手が休憩する、ということが実現するように、聞き手に命令する」つまり「休憩しなさい」という命令文になります。

{ko} と {surla} の間に出てくる {sei pe'idai la'a mi do dukse kurji se'u} は、メタ言語的な命題、つまり、命題についての命題を付け加える表現です。

{sei} というのは、「ここからはメタ言語的な命題だ」というしるしになる機能語です。 最後の {se'u} というのは、「{sei} の係る範囲はここまでだ」というしるしになる機能語です。

今の例で、 {sei} {se'u} の間に挟まれたメタ言語的な命題は

pe'idai la'a mi do dukse kurji

UI類: pe'idai la'a

述語:dukse kurji 「過剰に世話をする」 (dukse 「過剰だ」、 kurji 「世話をする」)

項: mi 「わたしが」 do 「あなたに」

{pe'i} は、「意見を持つ、思う」という気持ちをあらわすUI2類の単語です。 これに {dai} 「共感する」という気持ちをあらわすUI5類の単語が付いて、 {pe'idai} 「思うでしょうね」という意味になります。

{la'a} は、「可能性がある」という気持ちをあらわすUI3類の単語です。 {pe'idai la'a} 「思われるかもしれない」ということです。

このメタ言語的な命題の述語 {dukse kurji} は、2つの内容語単語が並んだものです。 {mi do dukse kurji} で、「わたしがあなたに余計な世話を焼く」という意味の命題になります。

{sei pe'idai la'a mi do dukse kurji se'u} というメタ言語的な命題は、「余計なお世話と思われるかも知れない」という意味になります。

これが、元の命題 {ko surla} の中に入って、 {ko sei pe'idai la'a mi do dukse kurji se'u surla} 「余計なお世話かも知れないが、休憩しなさい」という意味になります。

{sei} {se'u} で作られる表現は、UI類の単語と同じように、文頭でも文末でも、文の中のどの単語の間にも入れることができます。

{sei} {se'u} の間には命題が入るのですが、1つ注意することがあります。 「{sei} {se'u} の間に入る命題の項は、全て、述語より先に言っておく」という、文法上の決まりがあるのです。 この決まりがあるため、 {sei} で作られるメタ言語的な表現の直後に、命題本体の項が出てくる場合には、「{sei} の係る範囲がその直前で切れる」ということがわかりますから、 {se'u} を省略することができます。