LA類

Youtube : 第10回、 19分32秒から

LE類の単語は、述語になれる表現から特定の項の役割が意味するものを取り出して、項に変えるのですが、ロジバンの音素列が本来あらわしている意味を無視して、「その音素列を名前とするものごとをあらわす項」というのも作ることもできます。 どういうことか、ちょっと例を挙げて考えてみましょう。

la cribe

これは、LA類という品詞に属する {la} という機能語と、 {cribe} という内容語単語を並べた表現で、全体として1つの項となります。

{cribe} という単語には、簡単に言うと「熊」という意味があるのですが、これに付いている {la} という機能語は、その後に来る音素列の意味を無視して、その音素列を名前とするものごとを指す項を作ります。

{la cribe} というのは、日本語に訳すなら、「熊と呼ばれるもの」という意味です。例えば、「くまごろう」という人は、親しい人たちの間では「くま」という呼び名で通っていることもあります。 この場合、 「くまごろう」は人であって熊ではありませんから、この「くま」という音素列は、動物の種類としての熊という意味をあらわしてはいません。

このような「クマではないけれども、クマと呼ばれるもの」をあらわす項を作るには、 {cribe} のような述語になれる表現に、 {la} を付けて {la cribe} とします。

構文上、 {la} という機能語が係る範囲が誤解されないように、 {ku} を付ける必要がある場合もあります。 その場合は {la cribe ku} となります。

{la} という機能語は、述語になれる表現を項にするだけでなく、名前専用の単語を項にすることもできます。 例えば

la .kumagor.

これは、 {la} の後に {.kumagor.} という名前専用の単語が来ています。 この表現は全体として、 {.kumagor.} と呼ばれるものをあらわす、1つの項になります。

ロジバン文法の今のヴァージョンでは、名前専用の単語は、単独では内容語や述語になれません。 そのため、 {la .kumagor.} と言ったとき、 {la} の係る範囲が {.kumagor.} だけであることが明らかなので、この後に {ku} を付ける必要はありませんし、文法的にも、 {la .kumagor.} という表現を {ku} で区切ることは禁止されています。 ただ、ロジバン文法の改良案として、名前専用の単語を内容語として使えるようする案もありますから、ロジバン文法の将来のヴァージョンでは、名前専用の単語と他の内容語との文法的な区別は無くなるかも知れません。