数を内容語に変える

Youtube : 第8回、 4分33秒から

次は、数を内容語に変えることを考えてみましょう。 数をあらわす単語の後に、MOI類という品詞に属する単語を付けると、内容語になります。 例えば、MOI類に属する {mei} という単語は、数の後に付いて、個数をあらわす内容語を作ります。

数に {mei} を付けて作られる内容語が命題の中で述語として使われる場合の、項の役割も定義されていて、「その個数であるもの」という項の役割を、1番めの項に与えます。例えば

loi se marce ku renonomei 「乗客は200人だ」

という命題は、 {loi se marce ku} 「乗客」という項と {renonomei} 「200個」という述語で構成されています。 この述語 {renonomei} は、 200という数をあらわす {renono} と、それを個数をあらわす内容語に変える {mei} によって作られる内容語です。

数について質問する {xo} という単語に {mei} を付けることもできます。

xomei 「何個ですか」

という、個数を尋ねる疑問文になります。 {xo} を使った質問に対する回答としては、その {xo} の代わりに当てはまる数をひとこと言えば、文法的に正しい文となります。 例えばレストランに入る場面を想像してみましょう。

do.io xomei 「何名様ですか」

ze 「7名です」

このように、ひとこと {ze} と答えれば、これは7という数をあらわす単語ですから、「7名です」という回答になります。

MOI類には、順序をあらわす内容語を作る {moi} という単語もあります。 数に {moi} が付いて作られる内容語の定義では

{数 moi} の定義:

1番めの項の役割が「その数番めであるもの」

2番めの項の役割が「順序を付ける対象となるものごとの集合」

3番目の項の役割が「順序を付ける規則」

と決められています。 例えば

ti romoi lo'i selkei lo ni zdile

という命題を考えましょう。 この命題の述語は {romoi} です。 {ro} というのは、話題にしている範囲内で最大の数をあらわします。 ですから、 {romoi} と言うと、 「最大の数番め」つまり「順番に並べて最後に来るもの」ということです。 この命題には、述語 {romoi} が関係づけている、タグ無しの項が3つあって、

ti 「これは」

lo'i selkei 「ゲームの集合の中で」

lo ni zdile 「楽しさを順序の規則として」

という意味になります。 ですから、この命題は全体として「これはゲームの集合の中で、楽しさを順序の規則として、最後だ」つまり「これは一番つまらないゲームだ」という意味になります。

MOI類の特別な規則として、数の代わりに、ME類で作られる内容語にMOI類を付けることができます。 例えば

ti memimoi 「これはわたしのだ」

という命題の構造を考えてみましょう。 この命題の項は、タグ無しの項が1個だけで {ti} 「これは」という部分です。 述語は {memimoi} 「わたしのだ」という部分で、この {moi} の前には、数の代わりに {memi} という、ME類で作られた内容語が付いています。 この {memi} は、 {mi} 「わたし」という項に {me} が付いて内容語になったものです。

順序をあらわす数に {moi} が付いたものは「その数番め」という意味になりますが、 {memi} に {moi} が付いて作られる内容語は、「話題にしている範囲内で、ありうる項(が指すもの)の集合の中から、 {mi} に対応する項(が指すもの)を選び出したもの」と解釈することができます。

例えば、飲み物が入ったコップがたくさん並んでいて、一応、どれがだれのものか、印が付いているとします。 その中から自分のコップを見つけ出したら、 {ti memimoi} 「これはわたしのだ」と言うことができます。 このとき、そこに並んでいる全てのコップの集合が、「話題にしている範囲内で、ありうる項(が指すもの)の集合」ということになります。 その中の {mi} 「わたし」に対応するコップが {memimoi} であるわけです。