内容語の列は、先に出てくる内容語が次の内容語を修飾するという形で、述語となるのですが、修飾の範囲や向きを変える機能語もあります。 例えば
ti cizra ke pendo ctuca ke'e mapku
という命題について考えましょう。 この命題の項は、最初の {ti} 「これは」という部分だけです。 この命題の述語は {cizra ke pendo ctuca ke'e mapku} という部分で、これは
cizra 「変な」
pendo 「友達」
ctuca 「先生、教える」
mapku 「帽子」
という、4つの内容語からなる述語です。 項の役割を決める内容語は、最後に出てくる {mapku} だけで、これは「帽子であるもの」という項の役割を1番めの項に与えます。
この述語では、内容語の間に2つの機能語 {ke} と {ke'e} が入っています。 これらは、内容語の列の中で、修飾の範囲を括るためのカッコの役目をする機能語です。 {ke} が開きカッコ、 {ke'e} が閉じカッコです。
この述語では {cizra} が、その後の {ke pendo ctuca ke'e} 「友達の先生」という部分全体を修飾することになります。 そして {cizra ke pendo ctuca ke'e} 「変な[友達の先生]」という部分全体が、最後の {mapku} という内容語を修飾しています。 こうしてこの命題は、大雑把に言うと「これは、[変な[友達の先生]]の帽子だ」という意味になります。
この命題では、 {cizra} という内容語が、 {pendo ctuca} という部分を修飾しているのですが、 {cizra} の修飾する範囲を {mapku} にまで広げたいときは、閉じカッコである {ke'e} を、 {mapku} の後にずらせば良いですね。
cizra ke pendo ctuca mapku ke'e 「変な[[友だちの先生]の帽子]だ」
ただし、このように {ke'e} が述語の最後に来る場合は、省略しても修飾の範囲が変わりませんから、
cizra ke pendo ctuca mapku
とだけ言っても構いません。