内容語単語の形

Youtube : 第7回、 5分33秒から

今回は、述語の基本的な構造のうち、内容語単語について考えてみます。

内容語単語の形は、以下の規則によって制限されています。

  1. 音素の並び方についての規則

    1. 名前専用の単語以外の、全ての単語に当てはまる規則

      1. 名前専用の単語以外の単語は、母音で終わる

      2. 名前専用の単語以外では、4つ以上の子音が連続してはいけない

      3. 名前専用の単語以外の単語の出だしでは、3つ以上の子音が連続してはいけない

    2. 内容語単語だけに適用される規則

      1. 最初の5つの音素の中に、2種類の子音が隣合う部分を含む

        注記

        ただし、内容語単語が必ず5つ以上の音素から構成されているとは限りません。 音節は2つ以上必要なので、最低4個の音素で内容語単語となり得ます。 例: anji 「漢字」

  2. アクセントの規則

    1. 最後から2番目の音節に強いアクセントがある

こういった規則に従っているかどうかを知るためには、母音や子音の個数を数えることになりますね。 このとき、二重母音は、音節としては1つなのですが、母音の個数としては、2つの母音として数えられます。 区切りの音素である {y} と {'} は、母音や子音としてはカウントされません。

内容語単語には、アクセントの規則も適用されます。 音素の並び方の規則の中で音節を考える際には、 区切りの {y} 以外の母音1個、または二重母音1組が、1音節を構成すると見なされます。

ところで、 名前専用でも内容語単語でもない単語は全て、機能語(きのうご、 {cmavo})と呼ばれます。 機能語だけに当てはまる、音素の並び方についての規則があって、それは

  1. 母音だけから構成される、あるいは

  2. 1個の子音で始まって、そのあとは母音だけから構成される

というものです。 この規則自体は、内容語単語には当てはまらないのですが、 実は内容語単語の形にも影響しています。 つまり、

内容語単語が3音節以上ある場合は、強いアクセントより前の部分が、機能語と同じ形になっていてはいけない

ということです。 そうでないと、1つの内容語単語とは見なされず、機能語と内容語単語に分かれていると見なされてしまうからです。

例えば

tatrIcu

という音素列について考えてみましょう。 これは、最初の5つの音素の中に {tr} という2種類の子音の連続がありますね。 そして、最後から2番めに強いアクセントがあります。 このことから、 {tatrIcu} 全体で1つの内容語単語であるかのように思われるかもしれませんが、実はそうではありません。 {tatrIcu} の最初のアクセントのない部分 {ta} は、1個の子音で始まって、そのあとは母音だけから構成されています。 これは機能語だけに適用される規則に従う形ですね。 この機能語の規則が先に適用されて、 {tatrIcu} という音素列の {ta} という部分は機能語と見なされます。 ですから、この音素列は全体として

ta tricu 「それは樹木だ」

という2つの単語で構成されていると見なされます。

また、 内容語単語では、最後から2番目に強いアクセントがある ということに注意しないと、単語の区切りを間違える恐れがあります。 例えば2つの内容語単語を並べた

risna terbi'a 「心臓の病気」

という表現があります。この {risna} という内容語単語の {ri} の部分にアクセントがないと、 {ri} という機能語と、{snaterbi'a} という内容語単語が並んだ表現であると見なされて、

ri snaterbi'a 「これは音の病気だ」

というように、意味が変わってしまいます。

以上が、音素の並び方とアクセントの特徴となりますが、 ご理解いただけたでしょうか。 慣れないうちは難しいかもしれませんが、以上の規則のおかげで、音素列の中から曖昧性なく単語を聞き取ることができるようになります。