FA類

Youtube : 第6回、 10分08秒から

さて、ここまでにお話した項のタグは、命題の中の、述語として使われている単語の定義には依存しないのですが、FA類という品詞に属する、項のタグがありまして、この品詞に属するタグだけは、 命題の中で述語として使われている単語の定義に依存して、項の役割を決めます。

例を挙げてみましょう。

bu'u lo ckule ku tavla fa do lo pendo ku lo mlatu ku

前回の講座に出てきた例文と似ていますね。 この命題の述語は {tavla} 「語る」です。項は4つあって、

bu'u lo ckule ku 「学校で」

fa do 「あなたが」

lo pendo ku 「友達に」

lo mlatu ku 「猫について」

前回取り上げた命題との違いにお気付きでしょうか? この命題では {do} という項に {fa} という項のタグが付いて {fa do} となっています。

{fa} というタグは、この命題の中で述語として使われている単語の定義で決められる、1番めの項の役割を、項に与えます。 つまり、 {fa} というタグが付いた項は、命題の中でどの順番に出てきても、1番めの項の役割を担います。 ですから {tavla fa do} というように、 {fa do} という項が述語 {tavla} の後に出てきても、{tavla} の定義で決められた2番めの項の役割は与えられず、1番目の「語る主体」という項の役割を担うことになります。

{fa do} によって1番めの項の役割が埋まった後に、タグ無しの項が出てくると、それはその次の順番の項の役割、つまり順次、2番め、3番めの項の役割を担います。

こうして、この命題の中で、 {fa do} の後に出てくるタグ無しの項 {lo pendo ku} は、 {tavla} で定義される2番めの項の役割、つまり「語る対象」という役割を担います。同様に {lo mlatu ku} は3番目の「語る主題」という項の役割を担います。 つまり「友達に猫について語る」ということになります。

FA類に属する単語には、

fa (1番めの項の役割を与える)

fe (2番めの項の役割を与える)

fi (3番めの項の役割を与える)

fo (4番めの項の役割を与える)

fu (5番めの項の役割を与える)

があって、同様の規則に従います。 ですから、 {fe lo pendo ku} と言うと、これがこの命題の中でどの順番に出てきても、 {tavla} で定義される2番めの項の役割を担い、「語る対象」となります。同様に、 {fi lo mlatu ku} と言うと、これがこの命題の中でどの順番に出てきても、「語る主題」となります。

このようなFA類のタグを使うと、命題の中で項が出てくる順番は、完全に自由になります。 FA類のタグを使って、例えば

fi lo mlatu ku bu'u lo ckule ku fe lo pendo ku tavla fa do

というように、項の出てくる順番を自由に変えても、 「猫について学校で友達に語る、あなたが」ということで、命題全体の意味は変わりません。

FA類の中には、「命題の中のある項に、FA類のどのタグが当てはまるのか」という質問をするための {fi'a} という単語もあります。 例えば、 「あなたが語ったのか、 それとも、あなたに対して語ったのか、 あるいは、あなたについて語ったのか」といったことを尋ねる疑問文は

tavla fi'a do

となります。この疑問文に対する回答としては、 {fi'a} の部分に置き換えられるFA類の単語のどれかを、ひとこと言うだけで、回答として有効な文となります。 この質問をされた人が、例えば {fa} とひとこと言えば、「わたしに対して」でも「わたしについて」でもなくて「わたしが」語るのだという意味の回答になります。